令和6年2月28日・3月1日に卒業式・表彰式が行われ、第76回生の304名が県西を卒業いたしました。
これにより県西の卒業生は3万人を超えました。
嶋田利渚(冬季国体スケートショートトラック3位など全国大会で入賞多数)・辻倉瑳禮(全日本学生Cピアノ高校生1位)
林芙有(東京管弦声楽C声楽高校生1位)の3名に対して同窓会会長賞金一封を表彰贈呈しました。
以下、同窓会会長から卒業生への言葉
県西76回生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。県西卒業生3万人を代表して、同窓会長からご挨拶申しあげます。
まずは同窓会からの連絡です。
皆さんは卒業と同時に県西同窓会に入会となります。お名前は同窓会名簿に記載されます。今後、住所などの連絡先についての情報を
何年かおきに業者さんを通じて連絡がいくことがあります。管理された名簿は、学年同窓会の実施の際にとても役立ちます。
皆さんが30歳~40歳くらいのタイミングで学年同窓会をすることをお勧めします。
結婚適齢期年代の学年同窓会の実施は、全国でやるべきとの気運があります。
ノウハウについては県西同窓会のHPに記載しています。
昨年、私の代の学年同窓会を卒業後43年ぶりに開催し、95名の参加があり、大盛況でした。これは名簿の管理ができていたからで、
皆さんにはこの点をご理解いただきたく、名簿への登録の手続きをお願いいたします。
さて、皆さんは、県西での3年間で、担任・副担任・学年主任・各教科・部活の顧問と多くの先生がたにお世話になりました。
先生と呼べるのは今日明日までで、卒業後は恩師と呼び名が変わります。
そこで恩師の『恩』についてお話をいたします。
あなたが学校から家への帰り道に突然、雨が降ってきた。そこであなたはかばんにしまっていた折り畳み傘を出してさせたので
たいして雨にぬれずに家まで帰ることができた。
家に着いて、家の中にはいればもう雨が降っていたことは忘れて気にしなくなります。それは家には大きな屋根があるからです。
あなたは小さな折り畳み傘に感謝はしても、家の屋根に感謝することはありません。
つまり、小さな恩には気づくけれども、当たり前にある大きな恩には気づかないということです。
しかし大きな恩には節目では気づき感謝することは必要です。
皆さんには、この高校卒業というタイミングで大きな恩についてあらためて気づいてください。
『恩返し』という言葉があります。しかし、『恩』というのは決して返せるものではありません。
私は県西卒業後は出身の陸上部の活動だけを見守っきましたが、同窓会のお仕事をするようになってからは野球・サッカー・吹奏楽などの
試合やコンクールを見て周っています。最近は野球部の活動に特に注目していますが、そんな中で昨年秋に『下剋上球児』というテレビドラマを
見ました。無名の県立高校が甲子園へ行った実話をもとにしたというこのドラマで、実に印象深いシーンがありました。
家庭環境にめぐまれない生徒が硬式用グローブを買えないので中学時代の軟式用グローブを使っていて、このままだと野球部を続けられない
と悩んでいた時に、顧問の先生が自分が高校時代に使っていたグローブをあげます。
その時に、この生徒は『先生、俺なんもお返しできないです』と言いました。
顧問の先生はそれに対してこう言います。『いいんだ。おまえが大人になった時、いつか誰かに返せばいいんだ。』
県西の先生方も同窓会としても、皆さんが立派な大人になってくれることを期待します。
この『恩』についてのお話は仏教の教えから来ています。そもそも仏教の教えとはなんでしょう。
昔、中国で位の高いお坊様に対して村人が聞きました。
『仏様の教え』とはなんですか。位の高いお坊様はこうおっしゃいました。
諸悪模作 しょあくまくさ =悪いことをしてはいけません
衆善奉行 しゅぜんぶぎょう =良い事をしなさい
村人はなんだ子供でも知っている簡単なことと思いましたが。この簡単なことがいい大人たちでも守れていないのです。
今の日本で、政治家や不正を行う大手自動車会社のやっていることを見れば、このシンプルな教えが守られているとは思えません。
皆さんは社会人になった時に、目先の利益でごまかそうとしたくなる時が必ずあります。その際にはこの教えを思い出してください。
また、これからの人生で腹がたつこと、頭にくることがいくどとなくあります。
人間は言われてすぐにかんしゃくを起こして反応するのではなく、5・6秒待てば落ち着いて対応できると言われています。
これからご両親が進路のこと、就職のこと、結婚についてなどでうるさく言ってくることがあるでしょう。
その時にとっさにかんしゃくを起こすのではなく『くっ』と5・6秒のみこめば、そこにはもう『かんしゃ』しか残っていません。
日本はこれから人口がどんどん減っていきます。
それにともない日本の課題は多く、皆さんの将来は決して楽な道のりとは思えません。
どうか歴史と伝統のある県西卒業生という自覚をもって、立派な社会人となってください。
本日はご卒業おめでとうございます。
令和6年2月29日 県西同窓会会長 織田一郎